投稿日:2025年5月31日
― 2人同額出資の落とし穴とリスクヘッジ策 ―
はじめに
「2人で同額出資して、ダブル代表で会社を立ち上げました!」――近年、友人同士やビジネスパートナー同士でこうした形態を選ぶケースが増えています。
一見フェアで魅力的に聞こえますが、実務上は想像以上にハードルが高いのが実情です。本コラムでは、ダブル代表制が抱えるリスクと、スムーズな運営を実現するための具体策を解説します。
ダブル代表制とは?
同額出資 × 代表権を2名で保有する経営体制
取締役会を置かない小規模法人で選択されることが多い
分類 | 表面的メリット | 実際のリスク |
---|---|---|
経営体制 | 役職・権限が対等でフェア | 責任の所在が曖昧になりやすい |
ガバナンス | 互いに牽制し合い、チェック機能が働く | 意思決定が止まる・対立しやすい |
モチベーション | 両者のモチベーション維持につながる | 片方の熱量に差が出たときに不満や不信が生じる |
経営スピード | 双方が意見を出し合える | 承認に時間がかかり、スピード感を失う |
外部評価 | 協力関係が強いと安心感がある | 融資や取引で「統率がとれていない」と見なされる可能性 |
よく起こるトラブル事例
片方が積極投資、片方が守り重視で合意形成できない
銀行から「決裁権が分散している」と見られ、融資を渋られる
どちらが経営権を握るか不明確で買い手がつかない
銀行融資・信用調査で受ける評価
代表権が複数=責任の所在が曖昧と見なされがち
決裁スピード低下は資金繰り管理能力の低さと評価されることも
創業融資では「代表は1名」「出資割合に差」が推奨されるケースが多い
リスクを抑える5つの対策
- 出資割合に差をつける(例:51%:49%)
- 代表取締役は1名に限定し、もう1名は取締役や執行役員で補完
- 業務分掌契約書・株主間契約で権限と責任を明文化
- キャッシュ管理権限を一本化(銀行印・ネットバンク権限の整理)
- 第三者を入れたアドバイザリーボードを設置し、意見を可視化
代表権と出資割合のベストプラクティス
創業フェーズ
出資比率:代表51%以上を推奨
代表権:1名に集中
ガバナンス強化フェーズ
議決権と経営権を分離する選択肢(取締役会設置や監査役導入)
まとめ
ダブル代表制は「対等」に見える一方、意思決定の停滞・融資評価の低下・将来の紛争リスクなど、見えにくいデメリットが潜んでいます。
ポイントは「もしもの時」に備えた権限設計と出資バランス。
出資割合に差をつける
代表は1名に絞る
権限・責任を契約で明文化する
これらを押さえることで、スムーズな経営と資金調達力の向上が期待できます。
ダブル代表を検討中の方は、一度立ち止まって組織設計を見直すことをおすすめします。
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